2016年08月

【長期安定発電のカギとなるコストと効果がバランスした保全】

FIT法(再エネ特措法)の改正で、新設はもちろんすでに稼働中の太陽光発電設備についても、保全体制を含む事業計画の提出が義務付けられました。それに関連して、国がガイドラインの策定に向けて動いていることは前回お知らせしたとおりです。

とはいうものの、保全にはコストがかかります。そのコストが発電事業自体の事業性を損なうものであれば本末転倒となってしまいます。

そこで必要となるのが、コストと効果のバランスといえます。今回は、このバランスを取るためにオールラウンダーな保全技術者が必要なことを取り上げます。

 

【最大の個人資産である住宅を守る】

すでに200万棟以上に設置(平成284月末時点:経済産業省)されている住宅用太陽光発電設備は、余剰買取制度もさることながらポストFITに向けてゼロエネ住宅化を進める国の政策によってますます増加していくと見込まれます。こうした動きは、住宅における太陽光発電システムの重要性を一層増大させていくことになるでしょう。

その中で、太陽光発電設備の健全性を維持することが非常に重要であることはもちろんですが、最大の個人資産といえる住宅を守ることも求められています。太陽光発電設備の設置による雨漏りや発火事故などは、住宅の価値に重大な損害を与えるのみならず人命にかかわる可能性もあるからです。

 

【発電事業の長期安定をはかる】

40万か所以上(平成284月末時点:経済産業省)で導入されている産業用太陽光発電設備においては事業の長期安定が重要です。そのために、発電設備の点検・保守を適切に行うことが必要であることはもちろんですが、立地についても適正さが求められます。

このたびの法改正で、違法開発などの案件については、稼働中であっても認定取消されることになったほか、土砂災害の発生や近隣トラブルなども重要な問題と考えられています。

特に野立設備の場合、山林を開発することが多いことから、発電設備の安定稼働に土木設備の健全性が重要なカギを握っています。

こうした土木設備の重要性は、国土交通省が宅地造成等規制法の運用において、一定の規模の造成地に排水施設を設置する場合に一級建築士等の資格者による設計を求めていることからもわかります。

 

【オールラウンダーと専門技術者の役割分担】

以上のように、総合的な保全が必要なことは明らかですが、発電機器やシステムはもちろん屋根や土木設備にかかわる専門技術者がそれぞれの専門分野だけの保全にあたるのではコストは膨大なものとなり、大規模な発電所を除いて事業性を損なってしまいます。それでは前述のように本末転倒といえるでしょう。

そこで必要となるのが、オールラウンダーな保全技術者といえます。

オールラウンダーな保全技術者が、発電所の上から下まで全体を点検・保守し、専門業者でなければ対処できない補修等が必要となった場合には保全技術者と専門業者と協働して対処するといった役割分担をすることで、コストと効果のバランスを取ることが可能となります。

本財団は、このような役割分担によって地域における保全業と専門工事業の有機的な連携をつくり、国が目指している地域に根付いたエネルギー関連産業を育成することが必要だと考えています。

 

【オールラウンダーに求められる知識】

それでは、オールラウンダーの保全技術者にはどのような知識が求められるのでしょうか。

本財団では、各機器、システム設計、架台を含む点検・保守、電気事業法などの発電設備に関連する基礎知識に加え、リフォーム瑕疵保険などの建築関連制度、森林法や景観法など立地等にかかる各種法令、土木設備の点検・保守、労働安全衛生や廃棄物処理に関する基礎知識が必要と考えています。

こうした知識を身につけていただくため、本財団では「二級太陽光発電設備保全技術者養成講座」に次のカリキュラムを設けています。

   1.    太陽電池モジュールの基礎知識
2.    システムの基礎知識
3.    システム設計と電気工事の基礎知識
4.    システムの点検と測定
5.    事故事例とその対策
6.    電気関連法令の基礎知識
7.    建設関連法令の基礎知識(土木設備の点検を含む)
8.    その他関連法令の基礎知識
9.    実習

  二級太陽光発電設備保全技術者とは、保全業務にあたるオールラウンダーな現場技術者で、一級は今後設ける管理技術者としています。

 

【9月開講のご案内】

保全技術者の育成が急がれるところですが、本財団では9月も本講座を開講します。
講座の様子をブログで紹介していますので是非ご覧ください。

[FIT法改正を受けた講座内容強化の紹介] http://m-ref.blog.jp/archives/5183285.html

講座ではFIT法改正や今後の国の政策動向についても取り上げ解説します。
次号もぜひご期待ください。

 

 

【「太陽光発電設備保全技術者養成講座」受講者募集中】

[太陽光発電設備保全技術者養成講座] http://m-ref.or.jp/course.html

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      「二級太陽光発電設備保全技術者養成講座」
            開催のお知らせ

 

[日  程] 2日間通しの講座となります。

【期日】 平成28914日(水)・15日(木)
【時間】 一日目 13:2017:30  二日目 9:0017:00

[会  場] NPC日本印刷株式会社 i-Shop(セミナールーム)
東京都豊島区東池袋4-41-24

[受講資格] 次のいずれかに該当する方。
・電気工事の知識経験を有する方
・建築工事の知識経験を有する方
・太陽光発電設備の知識経験を有する方

[合 格 者] 検定に合格されると認定技術者として登録され、
以下の証書等が交付されます。

       ・認定証
・資格者証(顔写真入りプラスティックカード)

[CPD認定]本講座は全建築系CPDの認定プログラムです。
対象となる方は資格者番号等をご持参いただければ、
講座受付にてご登録(10単位)いただけます。

[受 講 料] 54,000円(税込)
(内訳:受講料・検定料 30,000円,登録料 20,000円)

[定  員] 30

[主  催] 一般財団法人再生可能エネルギー保全技術協会

[申込方法] 1.下記の当財団ホームページからお申し込みください。
          http://m-ref.or.jp/tlc.html

       2.お申込内容の確認メールが自動返信されますので、
         その内容に従って受講料をお振り込みください。

       3.受講料のお振込を確認後、受講資料一式を郵送します。
         必要事項を記載・添付の上、受講当日にご持参ください。

 以上

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太陽光パネルからの反射光による光害にはじまり土砂災害の誘発まで、太陽光発電設備にまつわる様々なトラブル・災害が、住宅用・産業用のいずれにおいても数多く発生していることはみなさまもご存じのとおりです。
今回は、これに対して国が取ろうとしている対策について取り上げます。

 

 

【保全のガイドラインを策定する見込み】

国もこうしたトラブルや災害の頻発を深刻に受け止めていて、6月のFIT法改正でも、設備認定を事業認定とすることや保全に関する計画を事業計画の必須項目とすること【新認定基準】が盛り込まれました。

  [新認定基準に定める保全義務]…新法93
    第一号 事業の内容が基準に適合すること
        ・適切に点検・保守を行い、発電量の維持に努めること

さらに、ポストFITに向けて長期安定発電を目指している国は、保守・点検のガイドラインを整備することを目指しています。

国が策定するガイドラインは事業計画策定のためのものとなる見込みで、発電事業の経験のない小規模事業者でも適切な事業計画をつくることができるよう、土地確保の計画から点検・保守の計画、事業終了後の計画づくりのガイドラインとなる見込みです。

 

【ガイドラインは発電所全体の適正さを求めるもの】

以上を見るとこれまでと大きな違いがないようにも思えるかもしれません。
ところが、実は大きく変更されているところがあります。
というのは、発電所全体の適正さを求めている点です。
発電量の維持を図るためには、発電設備が健全であるだけでは不十分で、発電所全体が適正でなければなりません。
つまり、地盤が崩れるような不良な土木工事がなされていてはならないことはもちろん、無許可開発をしていて使用差止や原状回復などの行政処分・命令を受けるものであってはならないということです。
このことは、かねてから本財団も太陽光発電設備保全技術者養成講座の中で指摘していることです。

 

【地域のサポート体制の構築】

さらに、事業者が発電所を適正に建設したり、保全することができるよう、地域にサポート体制を整備することも目指しています。
具体的には、アドバイザー派遣や業者情報の公表などが有力な方策とみられています。
業者情報には、各業者が有する技術、つまり社員が有する太陽光発電にかかわる資格(本財団の認定技術者といった)情報などが含まれる見込みで、事業者(設置者)にとって業者選びがわかりやすくなることを目指すものだと思われます。

 

【保全業務の広がりと透明性の重要さ】

こうした適正さを担保するためには、初期状態の適正さとその後の適正な保全が必要となることはいうまでもありません。
その基本となるものは、正しい知識と技術であることに加え、それが事業者(設置者)にとってわかりやすいこと、透明性を持つことだといえます。
また、こうした取り組みにともなって保全業務は一層の広がりを持つことが期待されます。
国も健全な業界育成を通じた地域での雇用拡大や業務拡大を目指しており、これは本財団の目指す“再生可能エネルギーとその関連産業が地域に根付き、雇用・業務が増進されること”とも一致するところです。

 

【8月9月開講のご案内】

こうした動きの中、保全技術者の育成が急がれるところですが、本財団では今月も本講座を開講します。
講座の様子をブログで紹介していますので是非ご覧ください。

[FIT法改正を受けた講座内容強化の紹介] http://m-ref.blog.jp/archives/5183285.html

講座ではFIT法改正や今後の国の政策動向についても取り上げ解説します。
次号もぜひご期待ください。


 

【「太陽光発電設備保全技術者養成講座」受講者募集中】

[太陽光発電設備保全技術者養成講座] http://m-ref.or.jp/course.html

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      「二級太陽光発電設備保全技術者養成講座」
            開催のお知らせ

 

[日  程] 2日間の講座となります。次の日程からお選びください。

【8月】 平成28823日(火)・24日(水)
【9月】 平成28914日(水)・15日(木)
【時間】 一日目 13:2017:30  二日目 9:0017:00

[会  場] NPC日本印刷株式会社 i-Shop(セミナールーム)
東京都豊島区東池袋4-41-24

[受講資格] 次のいずれかに該当する方。
・電気工事の知識経験を有する方
・建築工事の知識経験を有する方
・太陽光発電設備の知識経験を有する方

[合 格 者] 検定に合格されると認定技術者として登録され、
以下の証書等が交付されます。

       ・認定証
・資格者証(顔写真入りプラスティックカード)

[CPD認定]本講座は全建築系CPDの認定プログラムです。
対象となる方は資格者番号等をご持参いただければ、
講座受付にてご登録(10単位)いただけます。

[受 講 料] 54,000円(税込)
(内訳:受講料・検定料 30,000円,登録料 20,000円)

[定  員] 30

[主  催] 一般財団法人再生可能エネルギー保全技術協会

[申込方法] 1.下記の当財団ホームページからお申し込みください。
          http://m-ref.or.jp/tlc.html

       2.お申込内容の確認メールが自動返信されますので、
         その内容に従って受講料をお振り込みください。

       3.受講料のお振込を確認後、受講資料一式を郵送します。
         必要事項を記載・添付の上、受講当日にご持参ください。

 以上

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「二級太陽光発電設備保全技術者養成講座」の内容についてお問い合わせいただくことが多いので、7月と8月に開催した講座の内容(強化部分)を紹介します。

 

【FIT法の改正内容を反映して大幅に内容を強化】

6月にFIT法が改正されましたが、改正をいち早く講座の内容に反映させました。

そのため、発電システムでは正しい設備設計の考え方や関連機器の適正な設置方法、施工ミスのおこりがちなポイントの解説などを強化しました。

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また、事業終了後の廃棄方法を事業計画に盛り込むことや法令遵守が強く求められるようになったことから、廃棄物処理法の解説をはじめ、森林法や宅地造成等規制法、河川法などの許可や届出要件について、主要な各法令の知っておくべき基礎知識についてわかりやすく解説しています。

さらに、土木関連設備の管理について、基本的な管理手順はもちろん、施工不良や無許可工事の事例、国土交通省の資料にもとづいた点検ポイントなどの解説も強化されています。

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【初期検査は設置者のみならず保全業者自身を守ります】

メンテナンスの現場に携わる方々からの声の一つに、初期不良がある設備をあやまって引き受けてしまうのが怖いというものがありました。

初期不良は施工者の責任であるのに、設置者になかなか理解してもらえずトラブルに発展することがあるというのです。

このご指摘は、現場で起こりうる重大な問題を提起されているのではないでしょうか。
そこで
【初期検査】が必要となります。 

私たちは当初から、適切な保全業務を行うために、業務を引き受けるときにシステム全体の適正さを総チェックする【初期検査】を行う必要性を説いてきました。

初期検査で発見された不具合やその前兆を発見したら、それを設置者に報告し、必要な補修等を行うか記録しておくことを推奨してきたところです。
設置者にとっては設備の現状を把握することにつながりますし、保全業者にとっては責任範囲を明確にすることにつながります。 

国でも、既存設備の適正さを一定の【ガイドライン】のもとに点検する必要性が議論されており、本年秋をめどに発表されると見込まれています。

 

【国は長期安定発電を目標としている】

FIT制度を導入することで高利回りを求める投資資金を呼び込み、一定の普及を一気に推し進めようとする国の目的は果たされましたが、それは太陽光発電に関する政策の初期的な目標にすぎません。

その次に国が目指すのは、“長期安定発電”です。

前述の【ガイドライン】はこうした国の考えに即して取りまとめられることになるでしょう。

 

【保全業務の定着にはコストと効果のバランスが重要】

保全業務は発電所の“安心”“安全”“安定”な稼働のために必要不可欠なものですが、残念ながら意識啓発がまだ十分ではなく設置者の視点から見るとコストとして映っています。

そこで、一定の規制的なものとして【ガイドライン】が求められるのですが、とはいえ効果とコストとのバランスは重要で、効率的に点検することが必要です。

特に小規模な太陽光発電所や住宅用設備においては大きな課題となるので、本講座では模擬システム上で最新計測機器を用いた計測実習を行っています。

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【8月9月開講のご案内】

今月も本講座を開講します。

末尾に開催の案内を掲載しましたので、ぜひご覧ください。

本文でも一部掲載しておりますが、FIT法改正や今後の国の政策動向についても取り上げ解説します。

次号もぜひご期待ください。

 

 

【「太陽光発電設備保全技術者養成講座」受講者募集中】

[太陽光発電設備保全技術者養成講座] http://m-ref.or.jp/course.html

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      「二級太陽光発電設備保全技術者養成講座」
            開催のお知らせ

 

[日  程] 2日間の講座となります。次の日程からお選びください。

【8月】 平成28823日(火)・24日(水)
【9月】 平成28914日(水)・15日(木)
【時間】 一日目 13:2017:30  二日目 9:0017:00

[会  場] NPC日本印刷株式会社 i-Shop(セミナールーム)
東京都豊島区東池袋4-41-24

[受講資格] 次のいずれかに該当する方。
・電気工事の知識経験を有する方
・建築工事の知識経験を有する方
・太陽光発電設備の知識経験を有する方

[合 格 者] 検定に合格されると認定技術者として登録され、
以下の証書等が交付されます。
・認定証
・資格者証(顔写真入りプラスティックカード)

[CPD認定] 本講座は全建築系CPDの認定プログラムです。
対象となる方は資格者番号等をご持参いただければ、
講座受付にてご登録(10単位)いただけます。

[受 講 料] 54,000円(税込)
(内訳:受講料・検定料 30,000円,登録料 20,000円)

[定  員] 30

[主  催] 一般財団法人再生可能エネルギー保全技術協会

[申込方法] 1.下記の当財団ホームページからお申し込みください。
          http://m-ref.or.jp/tlc.html

      2.お申込内容の確認メールが自動返信されますので、
        その内容に従って受講料をお振り込みください。

      3.受講料のお振込を確認後、受講資料一式を郵送します。
        必要事項を記載・添付の上、受講当日にご持参ください。

 以上

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